オトカリテ跡地は商業・オフィス・ホテル・医療の複合施設
一方、オトカリテ跡地は、隣接するバスターミナル部分も含めて、商業を中心に、業務・宿泊・医療の機能を持った複合施設として再開発されます。こちらも、1階部分にはバス・タクシー乗り場や道路が整備されます。
オトカリテ跡地の再整備の主体はイオンモールです。イオンは、もともと千里中央に関わりはありませんでしたが、ピーコックストアの事業譲渡を受けたことで、大丸ピーコックを前身とするオトカリテの運営を担っていたほか、よみうり文化センターを再開発したSENRITOの商業施設を運営しています。
発表された計画を踏まえると、商業施設を中心としつつ、上部にオフィスとホテルや、ホテルと連携した高度医療機関が設けられます。イメージ図では20階以上の高層ビルの建設が見据えられているように思います。
近年、千里中央では、オフィスが減少し、マンションが増加する状態で、唯一のホテルである千里阪急ホテルも閉館することとなっていますが、それを改めるような複合施設が計画されていることになります。また、千里中央駅、せんちゅうパルとは、デッキ・地上・地下で広くつながる歩行者導線が確保されます。
先のイメージ図(協議会の基本計画資料)では、新しい複合施設とせんちゅうパルは完全にくっついていましたが、イオンモールによるこちらのイメージは多少の距離があり、歩道橋で結ばれているようにも見えます。現時点では、「現在のバス停部分にも建物を建てる」という以上のことははっきりとは決まっていないということでしょう。
なお、当初の基本計画では、隣接する「千里中央第1立体駐車場」も含めて再開発する計画でしたが、対象から外れています。所有者が阪急電鉄であるため、イオンとの住み分けを図ることになったのかもしれません。
散らばるバス乗り場や駐車場は?
今回の計画では、現在バス乗り場やタクシー乗り場となっている場所に新たな施設を建設する方針ですが、バス乗り場を集約・再配置し、わかりやすくしたり、駐車場を見直すことも計画の一部になっています。
バスに関しては、北大阪急行の延伸に伴う路線バスの再編で一部の乗り場が変更になっているものの、バス乗り場が分散している状況です。今回、新しい施設の1階部分に設けられる2つのバス乗り場をそれぞれ「豊中市内方面」と「豊中市外方面」に分けることが計画されています。
道路は、セルシー南側からSENRITO方面に向かう一方通行の「千里中央2号線」は対面通行化を行い、千里阪急とセルシーの間にある「新千里東町4号線」は廃止することが検討されます。
また、新しい施設内に駐車場を整備し、エリア中心部への自動車の流入を抑制します。共用駐車場である「千里中央第1・第2・第3駐車場」は、あり方を見直すとのことです。
他にも、一般車の送迎スペースの整備や、次世代モビリティの乗降スペース等となるMaaS拠点の整備などが検討されます。
今後のスケジュール
大きな施設が2つ同時に生まれることになる今回の再開発は、道路やバスターミナルの上に建物を建設したり、道路を廃止して区画を変更するなどを含んでおり、国の制度を活用しながら進められていきます。
スケジュールは、現時点では大まかにしか決まっていませんが、おおよそ2026年度までに事業計画を具体化し、法手続きを経て、2027年度以降に段階的に開業し、2032年度までに全体の完成を目指すとのことです。
千里ニュータウンは、高齢化による人口減少の時期を抜け、団地建替えによる人口回復の状態にあります。一方で、千里中央はバス路線の再編により利用者が減少した状況。ららぽーとEXPOCITY、みのおキューズモールに囲まれており、広域からの集客が容易ではない環境になっています。
そのような中で、マンション建設を前提とせず、商業施設を中心に駅前再開発を行うというのは、集客や採算性が相当難しいものと思います。日本屈指の商業施設運営事業者であるイオンモールと、千里中央を知り尽くし、百貨店からスーパーまで関西でのシェアを圧倒する阪急グループの手腕が期待されます。