吹田に今春、新しい2つの学校が開校した。私立千里金蘭大学(吹田市藤白台)と吹田市立千里たけみ小学校(同竹見台)だ。千里金蘭大学は、金蘭短期大学(同藤代台)生活科学科の一部専攻を廃止して設立される4年制大学で、生活科学部食物栄養学科が設置された。一方、千里たけみ小は、市立竹見台小学校と同南竹見台小学校を統合して誕生した小学校だ。2校とも、千里ニュータウンの吹田市域にあるが、どちらも開校をとりまく環境は厳しい。
千里たけみ小学校は、児童数減少で竹見台小学校と南竹見台小学校の統合で誕生した。千里ニュータウンで初めて統合される小学校だが、隣接する市立竹見台中学校との連携を深め、小学一年生から英語の授業を取り入れるなど、小中一貫型の特色ある教育を目指す。
吹田市教育委員会は、吹田市立学校適正規模検討会議(座長 山本冬彦 関西大学文学部教授)において、市立の小・中学校の学級数について検討し意見書で、学校の適正規模を小学校は12から24学級(許容範囲として、特筆すべき教育が期待できる場合は7から11学級)、中学校は12から18学級(同、特筆すべき期待できる場合は11学級以下、19から21学級)という考え方を示した。
南竹見台小は人口急増に対応するため、78年4月に竹見台小の敷地を二分して開校した。ピーク時の同年度、両校の生徒数は1,820人(48クラス)だったが、02年度は320人(14クラス)にまで減り、両校とも同会議の意見書で出された許容範囲の最下限の規模となり、統合が決まった。
統合にあたって、新校名は、両校や竹見台中学校の保護者らにアンケートを行い、寄せられた204件の中から選ばれた。新しい千里たけみ小では、竹見台中と連携して、小学1年生から9年間の英語の授業やパソコン実習、国際理解などのカリキュラムを導入するという。
一方で千里金蘭大学は、金蘭短期大学の生活科学科栄養科学専攻、食物科学専攻を4年制にするために設立された。2003年度は定員80名の生活科学部食物栄養学科が設置された。校舎などは藤代台にある金蘭短大のキャンパスと共用する。
少子化による受験人口の減少は近年、短大の経営を直撃している。文部科学省の調査によると、私立短大への入学者は10年前のピーク時には約24万人だったが、2年前には半分にまで減少し、全国の短大の約半数は定員割れの状態に陥っている。そんな中、高学歴志向で人気の下がっている短大を廃止して4年制大学に移行する大学も多い。
約100年の歴史を持つ金蘭も少子化の影響は例外ではなく、金蘭短大の2002年度の募集定員は800名であるのに対し、在籍の1年生は423名で、大幅な定員割れの状態だ。そのため、栄養学系の2専攻を千里金蘭大として4年制に移行し、卒業するだけで管理栄養士の国家試験の受験資格を得ることができるようにする。来年には、社会学系の人間社会学部(仮称)も設立される予定だ。
まち開きから40年が経過した千里ニュータウンは、少子高齢化が深刻だ。そんな中、「千里」と名のついた2つの学校が新たに歩み始めた。
関連リンク
千里金蘭大学
吹田市立小・中学校の適正規模について(吹田市役所)