千里ニュータウン 続々と建て替わる団地について


吹田市と豊中市にまたがる日本最初のニュータウン「千里ニュータウン」では、団地の建て替えが進んでいます。1962年のまちびらきから50年を超え、建物も築40年を超えるものが多くなり、少子高齢化も進んでいる街を若返らせるべく、2005年頃から建て替えられ始めました。

団地と言っても、形態はいくつかあり、大阪府営住宅、大阪府住宅供給公社(OPH)の賃貸住宅、都市再生機構(UR)の賃貸住宅や、一般に売却され、マンションと同様に区分所有されている分譲住宅などがあります。建て替えは、同じ敷地に同じ規模の住宅を建てるのではないことが多く、高層化して狭い土地に建て替えたうえで、余剰となった土地が売却されて分譲マンションとしたり、目いっぱいの戸数で立てて、新たな住民を呼び込んでいることもあります。

このような経緯について、日経新聞とSUUMOで特集されていたので紹介します。

徐々に建て替え人口回復 千里ニュータウン再生(1) 軌跡 – 日経新聞
日本で初めての大規模な住宅都市、千里ニュータウンが生まれ変わろうとしている。1962年秋の街びらきから半世紀が過ぎ、団地建て替えが進み、人口も回復し始めた。住民の新しい交流や北大阪急行の箕面延伸に伴う千里中央地区の再整備など次の課題を見据えた動きを追った。(中略)開発初期の入居者のうち子どもらが独立して街を出て、人口は75年の13万人を頂点に減り続け、2007年に8万9200人強に落ち込んだ。しかし14年には9万6000人近くに回復した。「団地建て替えで若い世帯が入居したのが大きな要因」(大阪府都市居住課)とみられている。(後略)

建て替え 住民の信頼得て 千里ニュータウン再生(2) 軌跡 – 日経新聞
全国の都市で開発しやすい用地が減り、建て替えを含む再開発事業に企業の関心が高まっている。千里ニュータウンは環境が良く、交通も便利なため、開発への意欲がより高い。しかし団地の建て替えは住民が合意しなければ事業が進まない。「全員が退去しないと取り壊すことはできない」(開発業者)からだ。
(中略)カギを握るのは住民の意向だ。同社は「団地再生を一緒に考えませんか」とコンサルタントの立場で相談に応じる。「建て替えに反対していた住民が、建て替えなければ仕方がないと思っていただければありがたい」。地元で信頼関係を築いたうえで時間をかけて取り組んでいる。

若者呼ぶ「MUJIの部屋」 千里ニュータウン再生(3) 軌跡 – 日経新聞
都市再生機構(旧日本住宅公団、略称UR)は千里ニュータウンの賃貸団地のうち一部の棟の建て替え方針を決めた。これとは別に「リノベーション」と呼ぶ小規模な改修も一戸ごとに進めている。 押し入れのふすまと棚を外し、室内を広く利用(豊中の新千里西町団地) 画像の拡大 押し入れのふすまと棚を外し、室内を広く利用(豊中の新千里西町団地) 改修には複数のブランドを設けた。機構が手掛ける「暮粋(くら・しっく)」や、良品計画のグループ会社で無印良品の家を手掛けるMUJI HOUSE(東京・豊島)と組んだ「MUJI×UR(ムジバイユーアール)」だ。このうちMUJI×URは千里を含む関西が発祥で、全国に展開した。若い世代に人気があるのが特色だ。(後略)

世界的建築家が集いの場 千里ニュータウン再生(4) 軌跡 – 日経新聞
建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞した世界的な建築家、伊東豊雄さん(73)が千里ニュータウンで新事業に取り組む。団地の公園や緑地を住民が集まる場所に造りかえる狙いで「みんなの庭」と名付けた。月内に千里青山台団地(大阪府吹田市)で住民と話し合う。 千里ニュータウンの公園や緑地について語る伊東豊雄氏 画像の拡大 千里ニュータウンの公園や緑地について語る伊東豊雄氏 東日本大震災の被災地に人びとが集まる「みんなの家」を造って以来、伊東さんは「共用空間を利用して住民のコミュニケーションを広げられないか」と考えてきた。その問題意識を引き継ぎ、都市再生機構の依頼を受けてニュータウンの活性化に生かす。(後略)

イベントでつながる住人 千里ニュータウン再生(5) 軌跡 – 日経新聞
千里ニュータウンは市民活動が盛んで、交流の動きも広がっている。「千里を元気で魅力的な街によみがえらせよう」と集まった市民が「千里市民フォーラム」を2003年に結成した。21世紀に入って団地の建て替えが進んだが、代表の山本茂さん(65)は「ハードだけでは街は元気になりません」と主張し、ソフト事業を通じてニュータウン再生をめざす。 1300人以上の市民が参加した千里キャンドルロード(昨年11月、千里南公園)=千里市民フォーラム提供 画像の拡大 1300人以上の市民が参加した千里キャンドルロード(昨年11月、千里南公園)=千里市民フォーラム提供 複数の住民グループのリーダーらが集まり、新しい活動やグループを生み出している。会員は130人ほどに増え、月1回の交流会「サロン」、年1回の意見交換会「フォーラム」を開く。(後略)

駅周辺施設の再整備計画 千里ニュータウン再生(6) 軌跡 – 日経新聞
大阪府、豊中市、吹田市などは2007年につくった「千里ニュータウン再生指針」を定期的に点検している。12年度に最初の点検をした際、取り組むべき合計20項目の進み具合を調べた。 画像の拡大 「住環境をまもり・つくるルール」の項目は区域を指定し建築物の制限や緩和ができる都市計画の手法「地区計画」の導入などを評価した。しかし「地域の賑(にぎ)わいや交流の場づくり」の項目は「取り組みが進捗しているが、地区によって取り組み状況に差がある」と分析した。この中には鉄道駅周辺の施設再整備が含まれている。

大阪・千里ニュータウンで進む団地の建て替え最新事情 – SUUMOジャーナル
築50年前後の古い集合住宅とどう向き合っていくのか。建て替えには多くの時間とお金、手間もかかりなかなか前に進まないことも多い。しかし、日本初の大規模住宅都市として1962年にまちびらきが行われた大阪・千里ニュータウンでは多くの団地が建て替えられている。その現状をレポートしよう。

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